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家のリフォームで知っておきたい基礎知識

公開日:2021.3.31

「家のリフォームってどうすればいいの?」「リフォーム、建て替え、リノベーション、どう違う?」初めてのリフォームには多くの悩みがつきまとうかと思います。そこで今回は、リフォームで失敗しないために、家のリフォームをするうえでの基礎知識を紹介します。

リフォームとは

リフォームとは

リフォームを検討中、建て替えやリノベーションといった言葉を耳にすることがあるかもしれません。違いがよくわからずに使われていることが多くあります。まずはその違いを確認しましょう。

リフォームと建て替えの比較

リフォーム 建て替え
前提 基礎部分は残す 基礎部分から建てなおす
費用 設備、修繕部位による 家の解体費用や登記・申請等の手続き、仮住まいの費用が発生
工期 修繕部位によるが、短期間で済むことが多い 長期

リフォームでは基礎部分を残し、部分的に改築、修繕、増築などを行い、新築同様の状態に戻すことを目的としています。一方で建て替えは、基礎部分から取り壊して、新たに住宅を建てなおすことをいいます。

リフォームの費用や工期は部位による

リフォームは基礎工事部分や骨組みはそのままにして、経年劣化や老朽化、汚れ、損壊などがある箇所を修繕、改修していきます。さらに、耐震や省エネ、バリアフリー対策、デザイン変更など、元の家の用途、機能、設備を尊重しつつ、付加する場合もあります。

そのため、リフォームの費用は改修部分とその量によって千差万別です。キッチン、トイレ、玄関、居間の壁やフローリングなど特定ポイントにしぼった箇所のみであれば、数十万円程度で抑えることも可能です。
工期に関してもリフォーム箇所によりますが、基礎から解体を行わないため、建て替えと比較すれば短期間で済むことが多いでしょう。

建て替えは立地や法規制による制限に注意

建て替えは既存の家を解体し、基礎部分や柱から建てなおします。そのため、費用は高額になりがちで、工期も長期におよぶことが一般的です。

リフォームと比較して、一から造れる建て替えの方が、デザインの自由度は広がります。耐震性や断熱性といった建物全体の構造にかかわる性能の追加も、建て替えの方が有利です。
しかし、敷地の面積や形状によって、建て替えの内容に制限がかかることがあるので注意が必要です。リフォームの場合でも、内容によっては制約に抵触することもありますので、事前に確認しておきましょう。

また、建築基準法や地域の条例によって受ける制限もあります。これらの規制は改正されることがあるため、最新の内容に目を通す必要があります。
※建蔽率に関する規制が変わったために、建て替えると建物の規模を縮小しなくてはならない場合があります。リフォームの場合は、新築時の建蔽率を保つことができます(増築を除く)。

リフォームとリノベーションの違い

リフォームが新築同様の状態に復旧させることを目的とした用語として使用されるのに対し、リノベーションは新築以上の機能、設備を伴わせる措置を指します。

リフォームはすなわち、英語の「reform」で、その意味は「改造、改正、改革」です。現状ある家を活かして、その損傷部分を中心により使いやすいように直していくことです。水まわり修繕や内装・外装修復にリフォームという言葉をよく使用するのはこのためです。
対して、リノベーション「renovation」は、「更新、刷新、修築」の意味です。元の家の機能や状態を活かすというよりも、元の家をベースとしながら、その用途や機能を付加して変えていくことがこれに当たります。古い民家を建て替えずに現代的な家や商業施設や宿泊施設に変えていくのは、まさに正にこのリノベーションにあたります。

リフォームのメリット

リフォームのメリット

建て替えと比較したリフォームのメリットは、費用や工事期間以外もあげられます。

思い出を残せる

リフォームのメリットは、自分たちの家の原型を留めることにあります。住み慣れた家への愛着や慣れた感覚、日常の居心地をそのまま残すことができます。同時に、きれいな状態に戻すことにより、新しかった家に住んでいた頃の感覚を思い出すこともできるでしょう。

費用が抑えられる

費用が抑えられる

多くの場合、リフォームは建て替えや新築よりも費用を抑えることができます。基礎部分や骨組みをそのまま残すのがリフォームですので、費用は修繕や設備入れ替え費用などにとどまります。
しかし、水まわりも外壁も、そしてバリアフリー対策も……というようにリフォーム箇所を増やしていくと、当然ながら費用も上がっていきます。積み重ねると、想定以上の費用になってしまう可能性もあるため、注意しましょう。

工事期間が短い

リフォームであれば、修繕箇所とその量にもよりますが、数日から数週間が平均的です。ひとつの設備や狭い範囲の壁紙であれば、数時間で済むこともあります。
対して、建て替えやリノベーションの場合、数ヶ月を見ておく必要があります。

建て替えが難しい立地でも可能

建て替えが難しい立地でも可能

古い家は建て替えが難しい場合があります。理由は建築基準法に基づくルールにあります。
建築について定められた建築基準法には、建蔽率、すなわち限られた土地に対する建築物の容積の割合について安全性が定められています。同様に、歴史ある過密都市に見られるような、区画の奥まった箇所に建てられた家がどの程度の幅の道路に接するべきかも定められています。
いずれも都市部の古い民家に見られる問題です。狭い土地にいっぱいの容積で建てられた建築物や、区画内の奥に建てられた住居、細い路地にひしめくように並べられた住居群です。現在は、こうした建築物の安全性を補うため、建築基準法において、次のような規制がなされています。

  • “建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。”(建築基準法53条)
  • “建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。”(建築基準法43条)

このように、家の建て替えには、相応の土地に対する余裕をもたせた建蔽率を保有する状態でないとできません。また、相応の道路に対し、適切に接している必要もあります。

税金の軽減が可能

建て替えや物件購入には、さまざまな税金が課され、登記などの手続きが必要となります。リフォームでもいくつか必要にはなりますが、税金は軽減が可能です。
建て替えは、新たな不動産の取得に当たるため、相応の税金がかかります。不動産所有一般に継続的にかかる固定資産税や都市計画税は上昇し、工事の契約に必要な印紙税、登記に必要な登録免許税もかかります。
こうした税制が部分リフォームの場合は、軽減可能となります。固定資産税も、部分リフォームなら大きく変わらないでしょう。リフォームは建て替えと違い、新たな不動産取得には当たりません。そのため、不動産取得税と登録免許税も不要となります。さらに、工事も建て替えや新築と比べて小規模ですので、印紙税も軽減されます。

  • 増築リフォームの場合は要注意
    増築を伴うリフォームでは、不動産取得税、登録免許税がかかるケースがあります。印紙税もその分、上がることになります。固定資産税についても同様です。固定資産税はその土地、建物の資産価値に基づいて決まります。したがって、企業資産と同じく減価償却すれば下がることとなります。このため、大幅リフォームや増床を伴うリフォームでは、従来よりも固定資産税が上がってしまう場合もあります。建築物の目的が変わる場合も同様です。
  • お得な税控除
    リフォームの目的と内容によっては固定資産税が下がることもあります。これに適合するのは、耐震、省エネ、バリアフリーなどを目的としたリフォームです。工事内容、工事費など要件が定められていますが、活用すれば税軽減に繋がります。また、住宅ローンを残したままのリフォームも条件によっては所得税控除の対象となります。

リフォームのデメリット

リフォームのデメリット

リフォームのデメリットをあえてあげるとすると、限定的であることです。基礎も骨組みも同じであるため、変えられる範囲には限界があります。

間取りの制約が多い

部屋割変更や、トイレやバスルームの広さ変更、配管の変更などをする場合、リフォームでは制約が生じてしまうケースも。主に新築のときの状態を取り戻すことを目的として行われるため、当初の間取り変更は原則として難しいと考えておきましょう。

リフォームの種類/目的別

リフォームをする目的はきれいにするだけではありません。リフォームの目的を3つに分けて紹介します。

バリアフリー(介護)リフォーム

バリアフリー(介護)リフォーム

近年増えているのが、バリアフリー(介護)リフォームです。
バリアフリー(介護)リフォームでは、高齢者や不自由な方々を抱えるご家庭や、将来を見据えて、家の各所にある段差解消や、トイレやバスルームの使い勝手向上を目的として広くしたり手すりをつけたり、ユニバーサルデザインを追求します。

エコリフォーム

エコリフォーム

リフォームのなかで注目されるのは、エコリフォームです。省エネを目的とした環境に優しいエコなリフォームです。
太陽光発電のためのパネル設置、断熱性能向上のための窓、サッシの交換や断熱材の活用、自然素材の活用など、さまざまなリフォームが可能です。条件次第では固定資産税の減税が受けられる点においても、注目されているリフォームです。

デザインリフォーム

デザインリフォーム

きれいにしたり、部屋の印象を変えることを目的とした、デザインリフォームは、もっともイメージされやすいリフォームかと思います。時間が経った壁や床の損傷や汚れは、日頃の掃除だけでは、ケアしきれないものがあります。こうした壁の内装、外装、玄関などの改善をする意味でもデザインリフォームは需要があります。
また、年齢や経験、流行りにより、住む人の志向性は変化し、求めるデザインも変わってきます。心地よいと感じる部屋の要素は機能だけではありません。快適さを追求してデザインを変えるリフォームも、理にかなった選択肢といえるでしょう。

リフォームの種類/空間別

内装、外装、水まわりなど、家の設備の数だけリフォームは存在します。代表的なリフォームの空間や部位を紹介します。

水まわりのリフォーム

水まわりのリフォーム

主要なニーズのひとつが水まわりリフォームです。キッチン、浴室、トイレ、洗面所といった水まわり部分は、住環境において使用頻度とその目的から、汚れやすい場所であります。

  • キッチン
    油や火を多用するキッチンは、どうしても汚れやすい部分。また、長年住んでいる家の場合は、その場所に立つ人も変わることとなります。修繕目的、使用者の変化に基づいて、リフォームの対象となりやすい傾向にあります。近年、ライフスタイルの変化から、対面型キッチンが増えています。
  • トイレ、洗面所
    トイレと洗面所もリフォームの対象となりやすい箇所です。汚れを落とす場所なので、汚れが溜まりやすいのは当然ですが、もっとも清潔感を保っておきたい場所でもあります。
  • 浴室、脱衣所
    浴室や脱衣所で近年、話題になるのが寒暖差にともなうヒートショック防止のリフォームです。壁、天井、床に断熱材を使用することや、窓を二重窓にする工夫も効果的。タイル風呂からユニットバスへ変更したりするリフォームも人気です。

外回りのリフォーム

外回りのリフォーム

家は室内だけでなく、外から見てもきれいといわれたいですよね。外気や風雨に晒されている外壁や屋根、ベランダやエクステリアのダメージは避けられません。屋根や外壁は、塗り替えや張替えが可能です。

内装のリフォーム

内装のリフォーム


内装リフォームは、壁や床を対象としたリフォームです。損傷や劣化の改修はもちろん、デザイン性の古めかしさや嗜好の変化も、リフォームを希望する理由となるでしょう。
防音性、断熱性、湿気対策、掃除の手間などの機能面からもリフォーム対象となる傾向にあります。

スケルトンリフォーム

大規模なリフォームのことをスケルトンリフォームといいます。基礎工事部分や家の骨組みはそのままに、まさにスケルトン(骨状態)にして、新しく建築し直すリフォームです。断熱材の充填や耐震の強化などがあげられます。

内壁のリフォームならエコカラットプラス

内壁のリフォームならエコカラットプラス

損傷や汚れの修繕や模様替え、機能付加の観点から、リフォーム対象となりやすい内壁。湿気が溜まりやすい水まわり、来客の視線が集まるリビングや玄関など、空間ごとの課題や目的に合った壁材を選ぶと良いでしょう。そこで、機能性とデザイン性にすぐれたエコカラットプラスを紹介します。

調湿機能に優れる

エコカラットプラスには、日本の伝統的住宅素材である土壁にヒントを得た、調湿機能があります。高温多湿の夏とカラカラの冬を抱える日本では、部屋の湿度を一定に保つことが難しく、悩まれている人も多いでしょう。エコカラットプラスは多湿の時には吸湿、低湿の時には水分を放出します。湿度対策として選択肢となる珪藻土や調湿壁紙に対して、エコカラットプラスは高い性能を試験結果で出しています。

脱臭効果がある

四大悪臭成分といわれるのが、アンモニア(トイレ臭)、トリチルアミン(生ゴミ臭)、硫化水素(タバコ臭)、メチルメルカプタン(ペット臭)です。
エコカラットプラスでは、これら悪臭成分を吸着し、脱臭します。その効果は、珪藻土より優れています。

お掃除が楽

お掃除が楽

エコカラットプラスは調湿建材の難点である掃除のしにくさも克服しています。湿気を吸収する調湿建材は一般的に、水拭き掃除が難しいのですが、エコカラットプラスは水拭きが可能です。

デザインが豊富

エコカラットプラスは30種類以上にも及ぶデザイン、カラーバリエーションがあります。雰囲気をあまり変えたくない方にも、がらりと変えたい方にもきっとお好みのデザインが見つかります。

施工事例

リフォームのイメージやシミュレートをするには、実際の施工事例を見ることは一番です。部屋ごとのエコカラットプラス施工例を紹介します。

リビング
  • リビング
    リビングは主要な生活の場であり、人の目に付きやすい場所です。家具やインテリア小物とコーディネートすると良いでしょう。
寝室
  • 寝室
    寝室は癒しやくつろぎを求める場所です。目覚めのよさや快眠効果も考えて選びたいですね。
玄関
  • 玄関
    玄関は来客の時など、人の目につきやすいところです。主張しすぎず、清潔感や整った感じを演出したいですね。
子供部屋
  • 子供部屋
    傷がつきやすい子供部屋の壁。また、子供の成長に伴ってデザインを変更したい場所です。
洗面・トイレ
  • 洗面・トイレ
    洗面・トイレは毎日使用し、汚れやすい場所です。機能性や掃除のしやすさも考慮したうえで、清潔に見えるデザインを選ぶのもポイントです。

リフォームを成功させるポイント

リフォームを成功させるポイント

最後に、リフォームを成功させるポイントを2点紹介します。

目的と優先順位を定める

家をリフォームするうえで重要なのは、目的と優先順位をきちんと決めることです。検討中にも新たな希望が出てくると思いますが、すべてを叶えようとすると、どうしても予算が増えてしまいます。そのため、優先的にリフォームする点を考え、税制や控除も考慮しつつ、絞り込んでいきましょう。
急を要するものでなければ、無理せずに順にリフォームしていくこともひとつの手段です。

リフォーム後の完成イメージをもつ

リフォームする時に出来栄えを想像することは重要です。その際に、漫然と思い巡らせるのではなく、InstagramなどのSNSやインターネット、カタログ、ショールームなどを活用し、さまざまな写真や実物を見て、シミュレートしましょう。せっかくのリフォーム。わくわくしながら楽しんでください。